宗徳院

或る若旦那が旅の途中の御茶屋さんで女性に出会う。女性の忘れ物を手渡すと、女性は崇徳院の歌の上の句「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」だけが書かれた紙を受け取る。つまり、また会いたいという意思表示という訳だ。
その若旦那の知人が大阪中を、上の句だけを頼りに探しまわるのだが、実はその女性の方も若旦那を探していた、というお話。

探し回る男が、最初何の手がかりも無くただ大阪をうろつき回り、それを女房に馬鹿にされてもう一度探しに行くくだりがユーモラスだ。