ウェブ時代をゆく

梅田望夫氏によるウェブ進化論に次ぐインターネット解説第二作目。

Googleの登場等によりインターネットの社会的な意味合いが変化。その事を棋士羽生善治氏は、「学習の高速道路とその先の大渋滞」と表現しているらしい。つまりインターネット大局等によって今の棋士は短期間に上達する事ができるため、短期間に多くの棋士が上級者クラスに仲間入りしてそこで渋滞が発生する、というもの。羽生氏はそれは将棋の世界だけの事ではなくあらゆる分野に共通する極めて抽象的な概念だと捉える。
BlogやWikipedia等を土台にして万人が自分意見を述べ、そうした情報をGoogleが瞬時に整理して提供し、更に意見が重ねられる。群集の英知という現象によりインターネット上に知恵・知識が蓄えられている。

大渋滞にはまった後どうすればいいのか。梅田氏は次のように述べている。

大渋滞の存在にかからわず、自分が好きなことについて目の前に高速道路が広がっているのだから、とにかく行けるところまで突っ走ってみよう。そして仮に大渋滞に差し掛かったら、その専門をさらに突き詰めて大渋滞を抜けようとするか、そこで高速道路を降りて、身に着けた専門性を活かしつつも個として総合力をもっと活かした柔軟な生き方をするか、そのときに選べばいい。

ではそもそもどの高速道路を走ればよいのか、あるいは高速道路を降りた後はどこ行けばよいのか。それは「好き」という事に勝るものは無いという。ノーベル賞の小柴氏のコメントも引用している。

大事なのは、「自分はこれをやりたい」というものを見つけること。それが人生でいちばん大切なことです。もちろん、簡単ではない。自分が何に向いているのか、何が好きなのか、見つけるのはやさしくない。それでも何とか見つけ出さなければいけない。

好きなこと、自分に向いていることを探すには、「お手本」を選ぶのが良いという。お手本は一人に限定しないで、

「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に採集するのである。

そして自分と波長の合うものが見つかったら自分なりのやり方に直して、優先順位をつけて徹底的に行動に移す、というのだ。

インターネットが生活の一部として定着した現在における人生設計の手引き書として読み応えがあった。