持参金

ある独身の男が番頭さんの借金をしていて、ある時払いの催促なしのはずだったのだが、突然返すように言われる。それも今日中に、だと。思ってもいなかったことで持ち合わせの無い男、困っていたところに金物屋が現れ、ある女を嫁に取らないかと相談を持ちかける。ところがその女は容姿や才も無いどころか、お腹に赤ちゃんがいるというのだ。ところが金物屋が持参金を持たせるというので、男はそれで借金を返そうと考えて、あっさりと承諾の返事をして、その日のうちに結婚することとなった。

さて、夜になり女が嫁いできたのだが、金物屋は持参金は明日まで待てという。次の日になると番頭が貸した金を貰いに来たが、男も待って貰うしか無い状態。そこで番頭が言うには、ある女を妊娠させてしまったので、どこかに嫁に行かせてしまおうとその世話を金物屋がやってくれることになり、それで持参金をつけることになった、と。

男は事情を飲み込んだ。自分が番頭にお金を渡すと、それは金物屋に渡り、それが持参金になって自分の元に来るという事なのだと。