仔猫

おなべという女子衆(下女)が勤めにやってくる。器量は良くないのだが働きもので気が利くということもあって回りの評判はとても良くなった。
ところが、おなべが夜な夜な外にでているとか、部屋で口元を血で染めているとか見たものが出てくる。これはよろしく無いことだと、旦那と番頭がおなべの持ち物を調べると血にまみれた毛皮が見つかった。
番頭はおなべに出て行ってくれと言おうとするのだが、様子がおかしい事に気がついたおなべは事情を話し始める。父が猟師なのだが、それがたたって、ある日看病してやった猫の怪我をなめたらその味が忘れられなくなった。それで猫を取って食べる病になってしまい、周りの人達から気持ち悪がられて、出て行かなければならなくなった、というのだ。
それを聞いた番頭は、「昼間のおなべは、猫をかぶっていたのか」と。

終盤のストーリーは怪談に近い恐ろしげな話なのだが、サゲがそれとうってかわったような駄洒落なので、肩透かしをくらったような気になる。悲しい運命を背負ったおなべをどうにかなだめてあげたい気になるのだが、笑いをとることで明るさを取り繕おうとしているのだおうかね。