意思決定の理論と技法

意思決定のマインドとそのフレームワークを解説した書。基本的には企業などといったグループを想定しているが、個人あるいは家庭にも応用が利く内容だ。

意思決定するという事は「後戻りしない覚悟を決めて、その結果に対して責任を持つ勇気を持つ」という、まさに意思そのものである。さてその意思決定、良いものもあればそうでないものもある。漠然とそうだろうなとは思うが、良し悪しを図る基準を提言している。

もとは、どうすれば良質な戦略を考えることができるのか、そもそも品質が高い戦略とは何だろうか、などと考えているところに色々とネットと調べるうちに、Stanford大学とStrategic Decision Group社がトレーニングコースを開いていることを見つけ、それを使って日本でコンサル活動をしている著者を見つけた、という訳だ。

1.的確な考え方のフレーム設定
2.創造的かつ実行可能な戦略代替案
3.有用かつ信頼性の高い情報
4.明確な価値判断基準
5.明快かつ正しいロジック
6.実行への関係者全体のコミットメント

1は"的確な"がポイント。適切な視線、粒度で課題を設定できるかどうかで決定する内容の意味が全く変わってくる。
ピーター・ドラッカーは次のように述べている。

The most serious mistakes are not being made as a result of wrong answers. The truly dangerous thing is asking the wrong questions. (Men, Ideas and Politics)

この書のフレームワークが意義深いものだと仮定して、これを実践にどう生かして定着させていくのか。それ自体も難しいのでは無いだろうか。この理論は米国発なのだが、米国流はシステマティックだと感じるものが多く、これもそんな所がある。一言で言うと、まだるっこしい、結局どうすればいいんだ、という印象をつい持ってしまう。逆にこういった理論を積み重ねているところは米国の強みであり、共通言語になっているのかも知れない。