小林秀雄 文学の雑感

例によって一つのテーマを徹底して掘り下げる姿勢は同じで、小林秀雄の講演CDも3作目になるので、口調にも慣れてきた。研究している本居宣長に触れて、宣長の歌が紹介される。

敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花

桜と言えばソメイヨシノが殆どだが、これは明治になって作られた品種で、育てやすいので広まったのだそうだ。更に小学校に必ず植えてあるのは、文部省と植木屋が結託したからだと。
小林秀雄ソメイヨシノはあまり好きでは無い様だ。そういう日本人もいるのは意外だ。私も山桜は好きな花で、春先の山が山桜のピンク色と新芽の薄緑で交互に染まっているのを見ると心が和まされる。だからといっても、ソメイヨシノも素晴らしく、あっと言う間に木全体を花が覆ってしまうのは、新学期、新年度の始まりを象徴するようで、季節の区切り目をはっきりとさせてくれるのが良い。
一足先に咲く彼岸桜もいいのだが、最近あまり見ない気がするのは気のせいだろうか。

「匂う」とは色に染まるという意味なのだそうだ。