司馬遼太郎「坂の上の雲」を語る

文芸春秋の特別企画から。

日露戦争は祖国防衛戦争でした。強い相手に対して、弱い自分がなんとか生き延びるため、知恵を働かせている。知恵はむしろ弱いものが持っているものです。弱いものが持っている知恵を働かせ、べつに政府が宣伝したわけでもなくて、国民が結束した

負けるたびに、民族としての思想が深くなったり、政治に対するものの考え方が深くなったりする。勝ちっぱなしの国はやはりおかしくなる。

人生は日常の連続であって、日常というものは非常にくだらないものである。(中略) その日常というものを積み重ねていくと、何事か出てくるかもしれぬというのが人生だと。