野ざらし

音源:五代目 三遊亭圓楽


「どこの骨だ」「新朝の幇間(たいこ)です」「しまった。昼間のは馬の骨だった。」このサゲがさっぱり判らなかったので、麻生芳伸の「落語百選」を引く。新町(しんちょう)は台東区浅草付近の事で、昔は太鼓屋が沢山あり、その太鼓は馬の皮でできていたということで、その語呂合わせのなのだそうだ。


先生と呼ばれる男が骨を弔って読む一句、「野を肥やす骨に形見の薄(すすき)かな」。誰が死を惜しんでくれてりるのか判らず、ポツンと寂しく置き去りにされた髑髏だが、せめてススキが形見となって現世に記憶を留めてくれるだろう、という位の意味だろうか。
髑髏が野に放置されているというのが現在なら即事件になって身元探し、犯人探しという事になる。今とは時代が違うといってしまえばそれまでだが、済んでしまった事をほじくり返さないような世界観が、落語の舞台にはある。


三遊亭圓楽がいなくなった事は寂しいものだ。子供の頃、三波伸介が司会をやってるときに、大喜利メンバーとして登場していたあの笑顔をぼんやりと思い出す。