千両みかん

若旦那が具合が悪いというのだがみかんを食べれば直るという。旦那に頼まれて番頭が探しに出かけるのだが、時期が6月なのでほうぼう探しても中々見つかるものではない。やっとみかんを専門を扱う問屋を聞きあてて行ってみると傷んでいないみかんがひとつだけあった。
問屋は最初ただであげるというのだが、番頭が買い受けたい申し出ると、元手が掛かっているので千両だと言われる。それでも我が子の命には替えられないと買うことになる。
若旦那は喜んでひとつのみかんの7袋食べ、残り3袋を両親と番頭で食べて欲しいと言う。自分が家を分けて貰うとき50両くらいは貰えるだろうが、このみかんは300量・・・と考えていた番頭、みかんを持ってどこかに消えたとさ。

夏という季節が前提のお話だが、今ではみかんは一年中手に入るのが当たり前。時代とともに季節感は薄れていくものだ。