首提灯

酒の好きな男が酒屋で飲んだところ細かいお金が無い。それで近くの夜店に両替に行くと仕込み杖が目に入るのだが結局これを買って、酒屋の支払いも終える。
さてその夜の事、その男のところに盗人が入る。仕込み杖を試したくて仕方が無い男は、ばっさりと首の皮一枚残して斬ってしまう。
おりしも外は火事で提灯を持った人が火事だ火事だと騒いでいる。盗人は自分の首を一度は落としてしまうのだが拾い上げて自分の体の前に差し出すように抱える。それで、首は火事だ火事だ、と。

落語はナンセンスな話が多いものだが、こういうどう転んでもありえない話が結構あるものだ。真面目に話されると笑うどころのことにはならないのだが、枝雀のテンポのいい語りに乗せると、まるでつられるように笑いの世界に入ってしまう。