権兵衛狸

ある夜の事、権兵衛という男の家に「権兵衛さん」という声とともに戸をたたく音がする。戸をあけると狸が転がってくる。いたずらしたのを懲らしめるために縛り上げる。翌日知人がやってくると狸汁にしようというが、それは可哀想だといって、戒めの為に頭の毛をそって逃がしてやる。
翌日、また狸がやってきて、「昨日はありがとうございました。今度は髭を剃ってください」。

この話の結末、笑えるというよりもなんだかほのぼのしている。本来ナベにして食べられたかもしれない狸がノウノウとまた現れる。ということは余程、危険を冒してもこなければならない事情があったのだろうと普通は考えるではないか。それが、今度は髭をそれとはどういう神経なのだろう。