竜馬がゆく(七)

考明帝の崩御を好機を見た倒幕派が動く。中岡慎太郎は西郷、小松、大久保等と列侯会議のを開催、朝廷の元に島津斉彬山内容堂、伊予宇和島伊達宗城、越前福井の松平春嶽四賢侯で倒幕の構想を纏めようとする。勤皇とも佐幕との態度を決めきれない山内は列侯会議から離脱するが、これを許せない土佐の乾退助は薩摩との間に倒幕のための薩土秘密同名を結ぶ。
更に中村慎太郎は朝廷工作の為、かつては公武合体を進め今は一線を退いている岩倉具視に働きかける。

列侯会議を聞きつけて竜馬と土佐藩家臣の後藤象二郎は長崎から京都に向かう。その船中、竜馬は大政奉還を骨子とする船中八策を後藤に授け、後藤は土佐に帰って山内にそれを提案する。山内は倒幕派と幕府の両方に顔が立つその案に歓喜する。


この頃、政治的な活動は同じ土佐藩中岡慎太郎が精力的だ。一方の竜馬は再び船を手に入れるが、紀州藩の船の不注意で衝突、またしても船を失ってしまう。
船中八策につながる竜馬の構想は諸国連盟を作って天皇の元に国政を運営するとうものであり、それは必ずしも倒幕を前提としていない。竜馬の独創性はその連盟をつなぎ止める糸を利益に求めようとしているところだ。竜馬はこれからの時代に人を動かす原則をそこに見出している。

大政奉還のアイディアは勝海舟が元は唱えたものだそうだ。創造性というものは、十中八九が他から見聞きしたもので、そこにほんの少しの独創性が加わったもの、という事なのだろう。竜馬の独創性は、大政奉還後に朝廷がどうやってそれまで放棄してきた政治を運営すればよいか、という事まで構想を馳せたところだ。