かけがえのないもの

養老氏が「かけがえのないもの」と見ている自然とか人の事とかにまつわることを書き連ねた随筆のようなもの。どうしたらこれほどの見方が沸いてくるのだろうかと、感じ入ってしまう。常にこれらの事に真正面から向き合って来たからなのだろう。豊富なエピソードが、元々は別の話なのだが、同氏の思考の上に重なりながら一つに繋がっていくようだ。

未来は予定されていない事だと言う。現代においては、遠い先の事まで予定して計画を練っているものだから、それは本質的には未来では無いと言うのだ。
夢とか未来といった言葉を語る人も少なくなっているだろうな。
好きな漫画家、手塚治虫鉄腕アトムという未来を描いた人だが、それだけでなくその未来の矛盾までも想像してそれを問題に取り上げている。
現代は理詰めでやれることを追いかけようとするがゆえに、未来を構想する力が衰えたということなのだろうか。出来る事と出来ない事が簡単に見通せてしまうのは不幸なのかも知れない。

オバマ新大統領は、夢、希望、変革で人を引き付けてきたが、就任演説ではそういった言葉が少なかったのが少し気になった。現実的になって気も引き締めているかのようだが、自分の任期などをその思考の基本にはしてもらいたくないものだ。
それにしても、日本の指導者を見ると、米国は羨ましい限りだが。