池上彰 世界地図から世界を見る

幾つかの世界の地図を使って、国の関係や世界情勢をかいつまんで解説するスタイルで、判りやすい内容だったが、案外知らないものだということを知ることにもなった。

例えば、

  • イラン民族はアラブ人ではなくアーリア人。言葉はペルシャ語で、アラビア語ではない。
  • ヨルダンの地図には、イスラエルは書かれていない。ヨルダンはイスラエルと政治的には友好関係を結んだが、イスラエルから追い出されたアラブ人が多い。
  • イギリスの地図の色とアルゼンチンの地図の色は同じ。フォークランド紛争の結果。
  • 台湾が発行する中華人民共和国の地図の名前は、"中国"。中華人民共和国とは認めたくない。
  • 中国の地図で北方領土は日本領土。ロシアをけん制している。敵の敵は見方、ということ。
  • ハングル、は「偉大な文字」。ハングル"語"というのはおかしい。
  • "ペルシャ"湾はイランの言い方。アラブ側は"アラビア"湾という。欧州では"The Gulf"。どちらからも反感を買わないように。
  • スエズ運河の通行料は最低でも1千万円。

地図一つ取り上げて話を広げていく。ジャーナリストだからできる事ということはあるだろうが、地図という一つのテーマを通して世界を見る事ができる、探究心を持って続けることがいかに重要かという例だ。