グローバル・マインド 超一流の思考原理
主題だとどんなテーマなのだかよくわからないが、筆者の訴えたいことは副題に表れている。
グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか
- 作者: 藤井清孝
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/01/17
- メディア: 単行本
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日本には古来「八百万の神」すなわち「どんなものにも魂が宿っている」という考え方が根強くあり、ものを大切にする精神が「ストーリー性のある本物指向」を生んでいる
また日本には美しい四季があり、その事が繊細な美意識を育んでいるというのだが、その"繊細な"という辺りはは全くその通りだと思う。例えば海外の紅葉なども綺麗なのだが、地域が一面に黄色く染まっているような印象で、なんだか奥ゆかしさのようなものが無かったりする。日本人は微妙な、繊細な光景に恵まれているんだろう。
だが、本書はその日本を褒め称えているのでは無い。現場至上主義だから未来が語れない、完璧主義だから正解が無い問いに掛けるエネルギーが無い、といった負の面を訴えている。
何故ソフトウェア業界で活躍する日本企業がいないのか、本質的な理由を言い当てているような気がする。
日本人の「完璧主義指向」に起因していると考えている。
ソフトウェアは完璧な製品ではなく、バクがあって当たり前のようなところもある。ユーザの不満や意見を取り込みながら次世代のバージョンで常に改良していくことを前提としている。
日本人の教育に根ざした「完璧主義」は、現場の強さをベースにした、大量生産型の産業製品には威力を発揮するが、試行錯誤型、顧客参加型、抽象思考が主体で、大量生産のノウハウが不必要な(ソフトウェアは試作品が完成品)製品には相性が悪い。