奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

この本を読んで自分自身もそうだが多くの人達に感動を与えているらしい。その理由の一つは木村秋則さんが貧しくなっても諦めないで自然農法を貫こうとした不屈の生き方だということは間違いが無いが、もう一つ大切なことは、自然に回帰しようというその目標そのものなのだと思う。人には自然に対して尊敬や憧れといった感情が無意識の内に働いているのだろう。

仮にこれが逆に、優れた効き目のある農薬や肥料を努力して開発したという話だったらどうだろうか。この木村さんが目標にしたことに比較すると感じ方が違うだろう。

オバマ政権がグリーン政策に力を注ごうとしているが、幅広い支持層を持っていることと無関係ではないように思う。現実の世界では"綺麗事"を否定しなければ成り立たない日常にあって、人は心の深いところで"綺麗事"に飢えているということなのかも知れない。