なぜ日本企業では情報共有が進まないのか

少し前にナレッジマネジメントが流行したときがあって、その頃はITベンダがこぞってツールを出していた。その内インターネットではWeb2.0現象が起きて、地球規模で知識が共有されたり創作活動が行われるようになってきた。すると企業内でもWeb2.0を取り入れるEnterprise2.0がもてはやされて来たわけだが、それでは企業内の情報共有は本当に進んでいるのだろうか。進んでいるという会社もあれば、進んでいないという会社もあるだろう。後者の場合ツールの限界はどこにあるのだろうか。



本書は情報共有が進まない理由を7つに分類している。
本書で書かれていることは同意できるものばかりだが、執筆されたのが90年代という事もあってか、今更という感じの内容も多い。技術や制度で対策できることは今や対策できていることが多いのだろうと思うからだ。
では、今日でも何故情報共有が十分進んでいないのかというと、根本的には、人が知恵を出したがらないからであり、その理由は端的に言えば「評価されない」「学ぶものが無い」「共感できない」の三つがある。

特に後者の二つは、人が何故働くことに喜びを感じるか、ということにも行き着くのかも知れない。このあたりを追求していくと人同士が相互に理解しあって高めあいたいという思いが根底にあって、それは仕掛けで強制することは決して出来る事ではなく、ITで解決できる限界にぶち当たっているように思う。


ではWeb2.0と言われる世界では何故共有が進むのだろうか。学ぶものがあり、共感できるできるから自分の意見や知識を惜しまずに提供している人がいる訳だが、そうした人は実はごく少数派で、ただそれが地球規模なものだから沢山の人が貢献しあうということが起きる。これが一企業となるとその中の一握りは微々たる数になってしまうので、互いに学びあい、共感しあうような場が成立しにくい、という事だろうか。