グリーン革命

フラット化する世界(原題:World is Flat)で有名な著者によるもので、その続編にような位置付けの作品。原題は、Hot, Flat, and Crowded。

グリーン革命(上)

グリーン革命(上)

世界規模で起こっている、地球温暖化、フラット化、人口過密化。これらが同時進行していることから5つの重要な問題が起きている。

  • 供給が細りつつあるエネルギーや天然資源への需要の増大
  • 産油国と石油独裁者への膨大な富の集中
  • 破壊的な天候異変
  • 電力を持つものと持たざるものを二分して起きているエネルギー貧困
  • 動植物が記録的な速さで絶滅し生物多様性の破壊が急速に進展

そして著者はこうした問題は個々に解決しようとしても他の問題と干渉し合うので上手くいかない、システム的に取り組まなければならないと言う。更に、革命というタイトルが意味するように、取り組みは決して簡単ではなく、現状を否定しなければ解決することが出来ない。
クリーンパワー、エネルギー効率、自然保護、これらを統合的に視野に入れて対策するには政府による政策が不可欠であり、政策による誘導と刺激策がまずあって、それをベースにして企業や投資家が投資をする仕組みを作り上げることによって、総論として描いた素晴らしい未来像を絵のに描いた餅に終わらせること無く、実行段階に移すことが出来ると述べている。


筆者はアメリカ人という事もあるだろうがアメリカが主導するべきと述べる。それはイノベーションの中心として世界中からも期待されているとと同時に、地球温暖化への責任を果たすという見地からも正しい主張だろう。
だが、この本を読むと、日本がこの分野でリードしないでどうするのか?という気持ちが起きてくる。太陽光発電で優位にあり、ハイブリッドカーの実績でも世界でトップの日本なら、技術面でリードできるはずでは無いか。更に本書の筆者が有用に政策を正しく導くことと、国際舞台で政治的に上手く立ち回る事ができるかどうか、という事が鍵かも知れないが。

アメリカという国は懐が広いというか、このような大局的な見地から政治に物申す学者がいるかと思うと、それを受け入れて勉強する政治家(オバマ大統領)もいる、この感覚は日本にはあまり例が無い気がする。