茶の湯

音源:柳家小三治


息子に家督を譲ったご隠居さんが暇をもてあまして何か風流なことを始めようと茶の湯をやってみようということになるが、全く心得が無いものだからどうすればいいか判らない。小僧の定吉と相談した結果、青きな粉に椋の皮で泡立てるというとんでもないものが出来てしまい、二人とも腹を壊してしまう。

いつまでも二人でやってるのは面白く無いと、店子を呼んで振舞うことにすると、店子達は茶の湯の心得が無いので恥をかきたくない、いっそその日の内に引っ越してしまおうと考えるが、振舞われてからでも遅くは無いと参加する。とんでもないお茶もどきで苦しんだが羊羹を口にして紛らわせる。

ご隠居さんは他にも客を招待するが、羊羹だけを味わう人が多くなってお金が掛かってきたので、芋と蜜と灯油でいい加減な饅頭を自前で作る。ご隠居さんに世話になった知人が訪ねて来て茶を所望するのだが、例のお茶もどきに苦しみ、目の前の饅頭もどきを口にして苦しみ、ばれないように捨てる場所を探し、垣根の向こうに放り投げる。そこにはお百姓さんがいて、その顔に饅頭もどきがペチャリと飛んで来ると、「また茶の湯かぁ」。


40分を超える結構長い噺だが、前半のご隠居と小僧の会話、中段の店子達のあわてぶり、後半の客人の苦しみようなど全体に面白く、またサゲは秀逸で、沢山の茶の湯の犠牲者が出ていたことがお百姓の一言で伝えている。


文化祭の季節だが、先日行った高校の茶道部の催しに参加した。御点前はなかなか堂々としたもので、高校生ながら20人くらいの客達の前でちゃんとした作法で振舞ってくれる。怪しいのは寧ろ飲む側だったりするのだが、簡単な説明が壁に貼ってあるのでまあ何とかなったというところか。