100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

原題は"The Next 100 Years - A Forecast for the 21st Century"


地政学、要は世界地図に占める地理的な条件を元にして、今後の世界地図を占おうとしているということだ。地政学だけではなく、これまでの歴史から各国の民族性も考慮している感じがする。


アメリカは地理的な位置付けから、大西洋と太平洋の両海洋を支配することができていて、今後もアメリカは世界の中心的な力関係を保つ。ユーラシア大陸では、台頭しているロシアと中国は分裂・崩壊し、それに乗じて日本、トルコ、ポーランドユーラシア大陸に勢力を伸ばす。

こんな感じの分析だ。アメリカ独裁の時代は終わるのだろうという印象を漠然と持っていたがとんでもない、この地政学の分析によれば、アメリカこそ今後100年たっても世界の中心だという主張だ。更に、日本の分析が興味深くて、日本は人口の高齢化と現象、それと天然資源を外国に依存している宿命から、核兵器を持つのは勿論のこと、いずれは軍国主義的な行動に出るという予測にはちょっと目が点になる。


予測があたるかどうかは神のみぞ知るとしか言えないだろうから、本書の予測の確からしさについてはコメントのしようが無いが、その予測を地政学フレームワークとしているのが面白い。地理は数百年ごときでは変化が起こらないのでそれを根拠に長期的予測を立てるのは理にかなっている気がする。
アメリカはオバマ政権になってこう変わってきたとかいう話はたかだか数年しかその根拠が無い。その後も同じベクトルが継続するという前提にたって世界観を持つのは、100年という長いレンジに立つと、もうどうなるのかわからない、とお手上げ状態だろう。