脳と気持ちの整理術

脳の働きを良くする、頭を使った活動の生産性を高める為に心がけるべきことが書かれた著書。脳神経外科の専門医なのだが、平易な内容で誰にでもわかりやすく書かれていて、提案にもはっきりとした根拠がある。また日頃うすぼんやりと実践している事も多く出てくるが、それが正しいやり方だと再認識することにも繋がった。
試してみたい事も多く見つかった。長続きさせる事が難関かもしれないが。

1.前向きな自分を作る
 難しい問題に取り組もうとすると意欲が起こらない事がある。それでずっと考え込むのではなく、「短時間の集中×多数」とすることでやる気と集中力を維持することができる。つまり効率を上げるということは、何時間費やしたかではなく、何回、時間の制約を意識して集中して取り組んだか、そして必ず毎回結果を出す、ことによる。
 目標をはっきりさせることも意欲を高めるのに効果的で、例えば前日の夜に次の日の行動目標を考えるのも役立つ。

2.思考の整理術
 やることが沢山あるとあせりを感じたりして思考に集中できないことがある。やることリストを作るのだが、肝心なのはその中から簡単な事を先にさっさと済ませてしまうことだ。
 いつか纏まった時間ができたら取り組もう、と思っても、そんな時は来ない。細切れの時間にコツコツやるしかない。

3.記憶を強化する技術
 本などから得た情報はなかなか記憶できないもので、しっかりと記憶するにはそれを話すなり書くなりして出力すると良い。また情報が多いと結局曖昧な記憶しか残らなくなってしまうが、少しずつ纏めながら、例えばメモを取るなどして覚えると効率的。
 情報を得た後はキーワードを拾い出して、それを基にすると要点が整理できる。

4.アイデアを生み出す技術
 アイデアを出そうとしてもいきなり出るわけではない。遊びや勉強から様々な情報に接し、目的意識を持って情報を脳に入力し、与えられた制約の中で必死に考える、という段階を経てひらめくもの。
 アイデアは思いついたら早く口に出して他の人に触れさせるのがよい。そうすることで一つのアイデアをいつまでも弄ぶことを避けられる。脳の中で考えているだけではひらめきの連鎖反応が起こらない。

5.気持ちの整理術
 強い感情が発生した後は地味な仕事や勉強をコツコツやることで感情の平衡を保つ。「嫌なこと、面倒なこと」はなくならないという前提で、「好ましいこと、楽なこと」、「少し嫌なこと」と調整する。
 人生には目標が要る。目標があるからこそ自分が今何をするべきか、何が大事かを判断でき、不安や混乱といった感情に左右されにくい。
 目標は、どうなりたいか、どういう手段で取り組むのか、それは誰のためか、という思考プロセスが有効だ。