現場力を鍛える
- 作者: 遠藤功
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2004/02/13
- メディア: 単行本
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強い企業の条件を「競争戦略の品質」「オペレーションの品質」「リーダーシップの品質」だとして、本書はオペレーションの品質に焦点を当てたもの。本書の筆者はコンサルタントであり、それが良い結果にあらわれるかどうかは現場がついてきたかどうかに大きく左右されたという、経験からくる率直な感想から現場中心のオペレーショナル・エクセレンスを追求しようという意識に繋がっている。
本書の内容は結構当たり前の事のように映る。だがそれだけに、どれほどオペレーショナル・エクセレンスを磨き上げる事ができるかが、企業の成功と成長をはっきりと左右するということなのだろう。先に読んだ「ヒトデはクモよりなぜ強い」と似たポイントをついているようだ。現場力というといかにも日本風な気がするが、ヒトデは米国が中心のインターネット経済だということも興味深い。
強い現場は「高い意識とやる気」を持つことが出発点であり、その為の条件は次の7つのポイントで押さえることができる。
- 企業哲学としての現場力
- 現場力の重要性を信念として持ち続け、企業哲学のレベルにまで昇華させる
- 自社独自の価値観や行動規範、仕事のやり方を「ウェイ」として明文化し、伝承、発展させる企業努力が不可欠である
- 脱・事なかれ主義
- 組織が成長すると縦割りが進む。意識的にツボを割る努力をしなければならない
- 異質のぶつかりあい、健全な対立が、現場力を高める起爆剤となる
- 主権在現
- 現場の意志、責任感こそが現場力の推進力。必要な権限は現場に与えなければならない
- 「失敗する権利」こそが最大の権利
- 自律的サイクルを埋め込む
- PDCAサイクルを回し続けること
- 問題点の源流にさかのぼる。五回の「なぜ」が有効
- 見える仕組み
- 「プロセス」「問題点」「結果」「知恵」が見えることによって進化が生まれる
- KPIを上手に活用してモニタリングする
- オルガナイズ・スモール
- 主体性を持たせるには、小さなチームを数多く作るのが有効
- 継続する力
- 個の情熱と組織の執念を結びつける。継続は力なり
その現場力はどうしたら身に着けることができるのか。
- 否定する力
- 現状不満足
- 業務そのものの否定→業務内容の否定→業務のやり方の否定
- ツボ割り
- 夢を共有する
- インフォーマルなコミュニケーション
- 改善と改革
- 目先の業務だけでなく、部門横断、全社的課題に取り組む
- 核となる人材
- 現場が主体性を取り戻す引き金となるのは5%の人材
- しつこい人間を育てる
- 経営者の役割
- 信頼する、任せる
- 監督する、鍛える
- 手本を見せる