片棒

ケチでお金持ちの店の主人が自分が死んだ後、三人の息子のうち誰に後を継がせようかと思案する。番頭に誰が良いか相談するのだが、誰と答えるわけにもいかず、かわりに、三人の息子に葬式にどんなお金の使い方をするかで決めたらどうかと提案する。

長男は、しみったれた葬式と言われてはいけないというので、お金を掛けた豪華な葬式にすると言うが、主人はそんなお金を出して欲しくなど無い。

次男は、普通の葬式ではなく、山車やら神輿やら花火やらを使った賑やかな葬式にすると言うが、当然主人は気に入らない。

三男は、出棺の時間を皆に知らせた時間よりも早く出棺させて、その後の食事の振る舞いをしないで済ませるといって、主人は多いに気に入る。棺おけも漬物の樽を使うとかとにかくケチくさい。棺おけを運ぶのも人は雇わないで自分が担ぐというのだが、そこまで聞いた主人は思わず、「もう片棒は自分が担ぐ」と。